“ルイ  原子爆弾については、登場人物に、第二次世界大戦の終幕ではなく、第三次の始まりだと語らせていますね。また《信用貸しの戦争》という表現も使っていますね。-----『太陽の帝国』を読むべし-----  

バラード  当時の中国人の多くは、そのことを知っていたと思う。ヨーロッパではドイツの降伏以降、戦争は長引かなかったし、冷戦が勃発するまでには何年かがあった。上海では違っていた。戦争は一度の攻撃で終末を迎えたが、それが本当に確実なものかどうか良く分からなかった。大勢の日本軍がいつも我々の周囲にいた。アメリカ軍がいるのはとても遠い沖縄で、中国軍もまた遠く、中国軍が到着したと思うと、共産軍と国民軍との間で戦闘が再開された。それからインドシナでのフランスの長い戦争、朝鮮戦争、さらにはヴェトナム戦争。戦争は極東のいくつもの戦線で続けられた。一九四五年の原子爆弾は、実際には、何も解決していなかった。旧体制と新体制、植民地主義とナショナリズム、共産主義と資本主義の間の基本的な対立、特権階級と、貧者に対して多かれ少なかれ公平な社会主義体制(そしてこれらの体制の国の多くは多数の貧者の国だった)との間の闘争--こうした紛争のすべてはまだ続いており、その展開は文字通り第二次世界大戦の終結の数日後に始まったのだ。いうなれば、これは確実に信用貸しの戦争で、原爆が最初の払い込みというわけだ。  ”